中国音韻/音素 のバックアップの現在との差分(No.6) |
起母起母(きぼ)起母は、起承転結が全て揃う完備音節の開始の基本形である。起母は調音部位と調音方法の組み合わせにより16音素に分類できる。調音部位は唇、舌根、舌尖、舌端の4通り、調音方法は破裂方法として口破、気破、鼻破、無破の4通りと、その組み合わせで表1のように 4×4=16 通りあるが、実際の発音では舌端と鼻音の組み合わせが無く、弱い声門閉鎖音のゼロ起母が例外として加わり、合計16起母となる。起母は、音節の始まり方を表す。計16起母である。|*起母表|< |< |< |< |h |* |*口破|*気破|*鼻破|*無破|t=: |*唇 | b | p | m | f | |*舌根| g | k | ng | h | |*舌尖| d | t | n | l | |*舌端| z | c | - | s | 起母はピンインの声母とほぼ同じである。主な違いは、ピンインにある舌面音 j、q、x 、巻舌音 zh、ch、sh、r を除外している点である。これらは次節「承母」で扱う。
|*起母の音価|<|< |< |< |< |< |< |< |< |h |* | | |l=: | |l.: | | | | |nw:c |* |*音韻特徴|< |*音価 |*音声特徴|< |< |< |< |< |t=: |^ |*調音部位|*調音方法|^ |*調音部位|< |*破裂|*気音|*鼻音|*その他| |*- | 声門 | || 声門 |< | | | | | |*b | 唇 |#060:口破|/| 下唇 |上唇 | 破裂| | | | |*p |^ |#00F:気破||^ |^ |^ | 気音|^ |^ |t.: |*m |^ |#C00:鼻破||^ |^ |^ | | 鼻音|^ |t.: |*f |^ |#000:無破|| 下歯 |^ | |^ | | 摩擦 |t.: |*g | 舌根 |#060:口破|/| 後舌 |軟口蓋 | 破裂| | | | |*k |^ |#00F:気破||^ |^ |^ | 気音|^ |^ |t.: |*ng|^ |#C00:鼻破||^ |^ |^ | | 鼻音|^ |t.: |*h |^ |#000:無破||^ |^ | |^ | | 摩擦 |t.: |*d | 舌尖 |#060:口破|/| 舌尖 |歯茎 | 破裂| | | | |*t |^ |#00F:気破||^ |^ |^ | 気音|^ |^ |t.: |*n |^ |#C00:鼻破||^ |^ |^ | | 鼻音|^ |t.: |*l |^ |#000:無破|| 舌尖側面|^ | |^ | | 接近 |t.: |*z | 舌端 |#060:口破|/| 舌端 |歯裏
承母承母(しょうぼ)承母は、起母の音韻特徴に対し修正を行い、新しい子音を合成する。この修正には時間差が無く、起母と承母は同時に調音される。承母は前舌の位置を指定する舌母と、唇の形を指定する唇母に分かれる。無指定の場合はそれぞれ、前舌を硬口蓋から離す低舌と、唇全体を開け閉めする平唇となる。ゼロ承母を含め、合計6承母となる。承母は、起母の特徴を引き継ぎ、変化を与える方法を表す。計6承母である。|*承母表|< |< |h |* |*平唇|*円唇|t=: |*低舌| - | w | |*高舌| j | jw | |*巻舌| r | rw | 承母は音韻学の四呼(開口呼、斉歯呼、合口呼、撮口呼)に巻舌音を2つ加えた、言わば六呼である。ピンインの介母(i、u、ü)と巻舌接近音(r、ru)を含む。承母の内、ゼロ承母、y、w、yw はそれぞれ音韻学の四呼である開口呼、斉歯呼、合口呼、撮口呼に対応する。また、y、w、yw はそれぞれの介母の i、u、ü に対応する。これらに声母とされてきた巻舌音の r と円唇化した rw が新たに加わる。
|*承母の音価|< |< |< |< |< |h | | | |l=: | | |nw:c | * |*音韻特徴|< |*発音 |*音声特徴|< |t=: | ^ |*舌位 |*唇形 |^ |*舌位 |*唇形 | |c:*- |#000:低舌|#000:平唇| | | | |r:* w|^ |#C00:円唇| |^ | 円唇化|t.: |l:*y |#00F:高舌|#000:平唇| | 硬口蓋化| | |l:*yw|^ |#C00:円唇|()|^ | 円唇化|t.: |l:*r |#060:巻舌|#000:平唇| | 巻舌化 | | |l:*rw|^ |#C00:円唇| |^ | 円唇化|t.: 承母は、3種類の舌母(ぜつぼ)と2種類の唇母(しんぼ)の組み合わせで分類できる。舌母は前舌の位置である。
転母転母(てんぼ)転母は、口を開くときの開き具合を指定する。起母と承母では口は閉じているのに対し、転母では円唇以外の効果を全て打ち消して口を開ける。転母を指定し場合は、不動を意味し、顎と舌は起母と介母を発音した位置から動かない。ゼロ転母も含め、合計3転母しかない。転母は狭めてた口を一転して開ける方法を表す。ゼロ転母の不転(ふてん)、小転(しょうてん)、大転(だいてん)の計3転母である。転母は音韻学の韻腹に対応する。また、e、a はの順に等韻図の内転と外転とも対応する *5。*6。|*転母の音価|<|< |< |h | | |l=: | |nw:c |* |*音韻特徴|*音価 |*音声特徴 | |*- |*不転 |、、、、、、|l:起母と介母の音を保つ | |*e |*小転 |、、、、、 |l:顎を小さく開ける |t.: |*a |*大転 |、、 |l:顎を大きく開ける |
結母結母(けつぼ)結母は、音節の終了方法を指定する。結母は単独では音節を作らず、結母に入るときに弱い音の移り変わりが発生する。i、u、n、ng は音韻学の韻尾に対応するが、将来的に er 音化を指定する結母を追加する予定。結母は、音節の終わり方を表す。6結母である。|*結母表|< |< |h | |*前方|*後方|t=: |*口音 | i | u | |*鼻音 | n | ng | 歴史的音韻変化で消えた両唇鼻音の m や破裂音 p、d、k も存在していれば結母に入る。また、児音化も5結母と組み合わせた音として結母に分類されることになる。しかし、児音化の規則は複雑で、新しく、現在も進化途中であるため、理論が纏まるまで結母に加えないことにした。一方で、児音と関係なく、ピンインでは「er」と表記される特殊な巻舌母音が存在する。将来結母に分類予定の児音化で「i」や「n」と排他的であることから、暫定で前方の鼻音として分類する。|*結母の音価|<|< |< |< |< |l:h | | | |l=: | | |nw:c |* |*音韻特徴|< |*音価 |*音声特徴|< |t=: |^ |*鼻音 |*前後|^ |*鼻腔開放|*閉鎖 | |*i | 口音 | 前方|| | 硬口蓋接近 | |*u |^ | 後方||^ | 軟口蓋接近+円唇|t.: |*n | 鼻音 | 前方|| 鼻腔開放| 歯茎閉鎖 | |*ng|^ | 後方||^ | 軟口蓋閉鎖 |t.: また、「u」は唇を使うために「前方」よりも前方ではあるが、二重調音で、同時に後舌と軟口蓋でも接近する準後舌母音である。既に消滅した「m」と「p」は「u」と共に唇を使う結母であったら、今は「u」しか残ってないため、唇の行は省略する。
声調声調は、音の高さを指定する。声調は、音の高さを表す。5声調である。一番低い音を1、一番高い音を5とする5度式で説明される場合が多く、その場合の調値は 55、35、214、51 で表現される。絶対の高さは地域差、個人差が大きいが、意味の弁別に用いられる声調が4つあることが変わらない。意味の弁別に用いられる声調が5つあることが変わらない。ただし、例外として、軽声は固有の調値ではなく、直前の声調に応じて変化する。また、文脈アクセントを兼ねているとも解釈できる。これに関しては、別に纏める予定。軽声は固有の調値ではなく、直前の声調に応じて変化する。また、文脈アクセントを兼ねているため、規則が複雑である。軽声に関しては、別に纏める予定。|*声調の音価|<|< |< |< |l:h | |l.: | |l=: | |nw:c |* |< |*音韻特徴 |*発音 |*音声特徴|t=: |*1|*陰平|高→高、高い||5-5 | |*2|*陽平|低→高、上り||3-5 |t.: |*3|*上声|低→低、低い||214 |t.: |*4|*去声|高→低、下り||5-1 |t.: |*5|*軽声|短調 | | | |*声調の音価|<|< |< |< |l:h | |l.: | |l=: | |nw:c |* |< |*音韻特徴 |*発音 |*音声特徴 |t=: |*1|*陰平|高→高、高い| |5-5 | |*2|*陽平|低→高、上り| |3-5 |t.: |*3|*上声|低→低、低い| |214 |t.: |*4|*去声|高→低、下り| |5-1 |t.: |*5|*軽声|短調 |(軽声は纏まり次第、追加する予定)|<| まとめ・つなぎ |